建物のリフォームや解体を行う際はアスベストの有無を調べる分析調査が必要になります。また、有無を問わず結果を報告することも義務付けられていますが、これはアスベストが深刻な健康被害をもたらすためです。アスベストそのものは無毒ですが、飛散する埃は鋭いトゲのような形状になっています。埃を吸い込むと肺の細胞が傷つき、肺癌などの疾患に見舞われます。
急速に症状が出るとは限らず、何十年も経過してから発症することも珍しくありません。平成18年にアスベストの使用や所持が禁止されるまでは様々な建造物に使われていたため、現在でも危険な埃を吸い込んで健康被害に見舞われるリスクは軽減されていないと言えるでしょう。アスベストの分析調査は作業員の健康状態を良好に保つ必須条件になっています。分析を行うには専門の設備や高度な知識が不可欠なので、資格所持者が常駐する専門業者に依頼するのが普通です。
法律で認められている作業環境測定を行うには、作業環境測定士の国家資格を取得しなければいけません。また、建材における含有率を分析するには日本作業環境測定協会Aランク認定技術者の資格が必要になります。費用については建物の大きさや築年数などの条件で多少の違いはありますが、一回につき約5万円から10万円ほどが平均的な相場です。危険な埃の悲惨を防ぐには適切な方法で工事を行うことが何よりも重要です。
事前の分析調査は工事を安全に行い、深刻な健康被害の発生を未然に防ぐ最善の方法と言えるでしょう。